買いやすい環境が活性化の鍵

取引においては、「売主」「買主」は対等ですが、人口減・家余りであるマーケットの中、「売主」から「買主」主導に変化が起こります。中古住宅流通活性化には「売主が売りやすい」環境を整えるよりも、「買主が買いやすい」環境を整えていくことが優先順位が高いと考えられます。

  • 人口減・家余りの転換点を迎え、住宅業界も購入者がマーケットの中では強くなり、作った物を売るのではなく、消費者の需要に応じていくマーケットに転換する必要があります。
  • 不動産事業者は顧客に誠実でなければいけません。売主・買主の同時エージェントは利益相反になる恐れがあります。
  • 不動産情報に事業者と消費者(特に買主)にギャップがあるのは本来のあるべき姿ではありません。同じ情報を持っていても消費者に選択される事業者の在り方が問われています。
  • インスペクション・かし保険・住宅履歴・耐震診断・地盤調査等、買主が安心して住宅を購入できる環境作りが急務です。

資産価値のウェイトは土地が重い

液状化する土地にどんなにしっかりした建物を建築しても、液状化すれば資産価値は落ちてしまいます。限界集落(都市部の新興住宅街なども含む)に良い建物を建てても資産価値は落ちてしまいます。反対に、よい立地であれば建物の性能が多少悪くても資産価値は落ちにくいのです。ゆえに、資産価値を考えると「建物」より「土地」にウェイトが置かれる様になります。

  • 建物よりも土地にお金をかけたほうが資産価値の目減りは防ぎやすい。
  • 建物の価値は限定的であるので、インスペクションの調査項目は最小限にする必要があります。
  • 華美住宅ではなく、流通しやすいサイズと質の質実剛健な家が求められます。
  • ハザードマップ等、土地そのものが持っているリスクを把握することが重要です。
  • 建物以外の資産価値要素に関する調査(インスペクション)が求められます。
  • コンパクトシティ計画なども購入顧客に伝えるべき重要な要素になり得ます。
  • 個性の強い外観の建物や、大きすぎる家などは流動性が低い。
  • リゾートや終の棲家等、リセールを考慮しない住宅購入の価値観もあります。

建物の価値化は主に構造

中古住宅購入者の多くはリフォームを実施します。たとえ、まだ新しい風呂やキッチンであっても、交換したいニーズは高いです。壁紙・クロスも張り替えるので、買い手にとってインフィルの価値はほとんど認められない場合が多いのが実情です。リフォームの資金を融通できるようになれば、その傾向はさらに顕著になります。

  • 中古住宅での残存価値の多くは構造。耐震性を中心とした構造性能の確認が最重要です。
  • 価値(価格)に転嫁できない、インフィルのインスペクションの必要性は低い。
  • 構造性能をかし保険で担保することは、中古住宅だからこそより重要になります。
  • まだ利用できるキッチン・風呂・トイレであっても、買主が交換する予定であれば、買主はそこに価値は見出すことができません。
  • 一事業者が建物を調査してその価値を買主に認めていただくのは、現実的には困難です。鑑定士と金融機関が組むなどして、鑑定評価があると与信枠が広がったり、融資利率が低減される等のサービス提供ができれば、本格的な価格査定が進むと思われます。

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